幸楽ブログ in 大阪

39歳無職ひきこもりから悪くない人生を手に入れる記録

夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘の感想

毎度、サイトーです。
「夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘」という本を読みました。読んだきっかけは、読んでいるブログで紹介されていたからだ。

本のタイトルで俺が最近考えていることを書いていること間違いなしと思ったので、即購入した。ちなみ著者の中川淳一郎ウェブはバカと暇人のもので有名だ。

現在の日本は「夢」がやたらと優遇されすぎている。だが、夢を追い続けた結果、悲惨な目に遭った人を散々見てきた。ミュージシャン、お笑い芸人、作家、司法浪人生、国家公務員受験生、学者、アーティスト、芸能人、起業したい人、フリーランスで自由に働きたい人、……夢を簡単に煽って欲しくないのである。

彼らがどんだけ「夢を持て」といったことばに騙されて悲惨な人生を送っているか!

本書で語るのは、そういったおとぎ話を真っ向から否定する、地に足の着いた仕事論である。さあ諸君、ワーク・ライフ・バランスに悩むのをやめ、「夢を諦める日付」を手帳に書き入れよう。仕事は元来、くだらないものなのだ。

 

こんな内容から始まるこの本だが、巷に溢れる「夢を持て!」に対する逆張りで書かれた捻くれた奴の本ではない。

むしろ、優しさから「夢なんか追っちゃダメだよ!」と言っている。

我々フツーの「凡人」、「小物」(引用)である人生の先輩としての仕事論についてのアドバイスである。ちなみに著者は一橋を出て博報堂に入っているので、俺などは何をかいわんやである。

実は真面目な仕事論

さて、届くまでの間に他の人の感想でも見ようかなと思ってググってみると、こんなページに行き着いた。

ji-sedai.jp


アホなおっさんがふんどしで発売記念の対談をやっている。

もしかして買って失敗か?と思ったんだけど、良かった。俺は少し感動すらした。

夢なんか叶わない、夢死ね!というのは単なるジャブで、次章から本編が始まる感じなんだけど、「クライアントが俺に責任は無いという証明のための謝罪文」とか「誰がこの中で一番偉いかという序列」とか「根回し(博報堂では仁義を通すというらしい)」とか、博報堂のような大企業ではないけど、わりと堅い業界で働いていた俺はあるあると笑ってしまった。

そんなこの本も、章が進むに連れて面白おかしいテンションが変わり、著者の仕事観の話になっていく。

博報堂に入って初めての誕生日。著者はクライアントのイベントで名古屋に初めての出張に行く。

イベントも無事終わり、40代、50代のクライアントと酒を飲み、カラオケでどんちゃん騒ぎ。もちろん、著者はお酌をし、言われるがままに飲み、盛り上げるためにタンバリンを叩く。

ディス イズ ジャパニーズサラリーマンをやっているのだ。

そんな時に博報堂の先輩社員が「こいつ(著者)は今日誕生日なんですよ。何か祝ってくれませんか?」と言ってくれ、おっさんばっかりで著者のためにハッピバースデーの曲を唄ってもらった。

ここで著者は「社会人っていいじゃん」と思うのである。

俺はここに感心した。誕生日に名古屋まで来てオッサンどもにハッピーバスーデーを唄って貰うなんて、普通に考えて嬉しくない。

クライアントの手前その場ではありがとうございます!と言っても、何も心に残らないはずだ。

著者は真面目で地味なタイプなのでチャラい同期についていけず、また仕事もキツいので辞めて大学院に進学するかと考えていたらしい。

それがこの時に初めて社会人っていいなと思えたらしい。うまくいえないけど、仕事って何やってようが結局は人間関係で、その人間関係を肯定的に捉えられるかどうかって凄く大切なことだと思う。

あとがき

著者は元広告代理店の人間なので、この本を書くときにターゲットを決めていたんだと思う。

俺の予想では就活中の大学生から社会人になって転職を考えている層が大きなターゲットで、ピンポイントで狙っているのは「仕事なんてクソ、このクソ会社辞めてやる」って考えている人かなと思った。

俺は会社を辞める前にこの本を読んでいても仕事は辞めただろうが、自分がサラリーマン時代に何がダメだったのかを考え直すいい機会になった。

キラキラして希望に燃える学生にも、死んだ魚の目をして通勤しているサラリーマンにもおすすめの一冊。